アスペルガー症候群
自閉症スペクトラムに分類されている他の状態同様、アスペルガー症候群も性別との相関関係があり、全体のおよそ75%が男性である。ただし、症状が現れずに潜在化(治癒ではない)する場合も勘案せねばならず、この数値にはある程度の疑問も残る。
コミュニケーション上の主な特徴 非自閉症の人(NT:neurotypical, 典型的な精神の人)は、他者の仕草や雰囲気から多くの情報を集め、相手の感情や認知の状態を読み取れる。しかし自閉症の人はこの能力が欠けており、心を読むことが難しい(心の理論)。そのような、仕草や状況、雰囲気から気持ちを読み取れない人は、他人が微笑むことを見ることはできても、それが意味していることが分からない。また最悪の場合、表情やボディランゲージなど、その他あらゆる人間間のコミュニケーションにおけるニュアンスを理解することができない。多くの場合、彼等は行間を読むことが苦手あるいは不可能である。つまり、人が口に出して言葉で言わなければ、意図していることが何なのかを理解できない。しかし、これはスペクトラム状(連続体)の特徴である。表情や他人の意図を読み取ることに不自由がないアスペルガーの人もいる。彼らはしばしばアイコンタクトが困難である。ほとんどアイコンタクトをせず、それをドギマギするものだと感じる場合が多い。一方、他人にとって不快に感じるくらいに、じっとその人の目を見つめてしまうようなタイプもいる。相手からのメッセージ(アイコンタクトなど)が何を示すのか、彼等なりに必死に理解しようと努力するのだが、この障害のために相手の心の解読が困難で、挫折してしまうパターンが多い。例えば、初対面の人に挨拶をする際に、社会的に受け入れられている方法で自己紹介をするのではなく、自分の関心のある分野に関して一人で長々と話し続けるような行動をとる場合がある。
コミュニケーション上の特徴が障害とは限らない 症候群という表現は、アスペルガーの人は障害者(異常)で、その他の者は定型発達者(正常)というように感じる。しかし、特徴の見かたを変えると、客観的で、事実を正確に理解して表現することに長けているともいえる。以下に挙げられている「言葉を額面どおりに受け取る」や「些細なことにこだわる」という特徴も「厳正に規則を守る」と言い換えることもできる。例えば、パソコンのように順序だったものや規則的なものに興味を持てば、才能を開花させることも可能である。また「行間を読むことが苦手」というのは、行間を読まないコミュニケーション方法ということである。それは「行間を読むコミュニケーション(アスペルガー以外の多数派)」に対しての「少数派の方法」という関係である。
つまり、少数派であるために、多数派の人と自由にコミュニケーションが取れない、或いはコミュニケーション方法の違いを理解されないという問題が、社会生活での障壁となりやすい。
主な問題点
例えば先生が、アスペルガーの子供に(宿題を忘れたことを問いただす意味で)「犬があなたの宿題を食べたの?」と尋ねたら、その子はその表現が理解できなければ押し黙り、先生に自分は犬を飼っておらず、普通犬は紙を食べないことを説明する必要があるのかどうか考えようとする。つまり先生が、表情や声のトーンから暗に意味している事を理解できない。 先生は、その子が傲慢で悪意に満ち、反抗的であると考え、フラストレーションを感じながら歩き去っていくかもしれない。その子はその場で何かがおかしいとフラストレーションを感じながら、そこへ黙って立ち尽くすことだろう。
アスペルガーの子供は、言葉で言われたことは額面どおり真に受けることが多い。親や教師が励ますつもりで「テストの点数などさほど大事ではない」などとあまりきれい事ばかり聞かせたり、反対に現実的なことばかり教えたりすると、真に受けてしまい、持つべき水準からかけ離れた観念を持ってしまう危険性がある。彼らは、“大人の発言には掛け値がある”という疑いを持ちにくく、持ったとしても、はたして掛け値がどのくらいなのかを慮ることが困難であるため、発言者の願望を載せて物事を大げさに表現すると狙った効果は効き過ぎることになる。この傾向を助長する要因の一つに、通常であれば日常生活で周囲の人の会話などから小耳に挟んで得ているはずの雑多な情報を、アスペルガーの人は(アスペルガー特有の“興味の集中”のため)“聞こえてはいる”ものの適切に処理することができないことが考えられる。

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